アットホームで気さくなスタッフさんが揃った若葉会動物病院。
病院の雰囲気そのままに温かい人柄が印象的な標葉先生に、ペットの健康診断を中心にお話を伺いました。

先生が獣医師を目指そうと思ったきっかけは何ですか?

(標葉)

中学2年生の時にカナダの牧場へホームステイさせていただいたんですが、馬に乗って広大な草原を移動する生活の中で、自分の乗っていた馬にケガをさせてしまったんです。海外では歩けない馬はすぐに殺処分になります。その時に、その子が自分のミスで処分されるかも知れないという責任と無力感を強く感じました。傷ついた動物を助けたいという気持ちはその頃から強く芽生え始めました。
獣医師になると具体的に決めたのは、知り合いの動物病院でアルバイトをしていた高校2年生の時です。進路に悩んでいた時期で、獣医師であれば家族に働く姿を見せることが出来ますし、当時から起業したいという目標がありましたので獣医学科を目指して一念発起しました。


獣医師としての喜びはどんなことですか?

(標葉)

ひどく悪い状態で来られた動物が、治療をして元気になって帰って行く、これはもう獣医師共通の喜びです。元気な姿で帰してあげられた時が一番の喜びで、動物が助かるということが大事だと思っています。


獣医師として一番大変なことは何ですか?

(標葉)

病気にはこちらの時間は関係ありませんし、休日であろうと待ってはくれません。動物を助けるということを最優先に考えると、自分のプライベート、やはり家族が一番の犠牲になっているのかなと思います。大変といえば大変ですが、その分、感謝もしていただけます。この病院は緊急性のある時は夜中であろうと治療しますし、スタッフ一同が動物の命を優先し、同じ気持ちで協力してくれるため助かっています。


獣医師として心がけていることはありますか?

(標葉)

飼い主様も動物も不安にさせないようにすること、しっかりとお話をして納得していただけた上での治療をおこなうことにしています。動物は人間の子どものように怖いとか痛いとか言えません。私の子ども達は小児科に行って痛い思いをすれば痛かったと言ってくれますが、動物は言えない。言えないということをこちらが分かった上で、なるべく痛くないように、怖くないように出来る限りのことをやってあげようと心がけています。そのために動物と獣医師が打ち解ける時間を大切にしています。


動物と打ち解けるための時間とは?

(標葉)

すぐに触らないということです。動物はすぐに触られるとビックリします。ですから初めて来られた飼い主様には最初は「抱っこをしておいて下さいね」とお願いします。そのまま飼い主様とゆったりとしたムードでお話をすることで動物が安心してくれます。自分の飼い主とこの人は仲良く話している、この人は安心出来る人だなと思ってくれるんです。打ち解けてから初めて診察台に乗ってもらいます。急に乗せられるとまな板の鯉ではありませんが、「何をされるんだろう、捨てられるのかな」と不安にさせてしまいますので、これはそうではないことを動物に分かってもらうための大切な時間です。


いよいよ診察ですね。診察する上で心がけていることは?

(標葉)

見える治療ですね。飼い主様の居ない場所に連れて行くのではなく、なるべく飼い主様の居る場所で診るようにしています。動物は何をされたのか告げ口することは出来ませんから。また飼い主様が質問をしやすくすることも重要です。当院ではゆったりとした時間をとって、話を聞きながら診察するというスタイルを大切にしています。


たくさん質問が出来るのは飼い主としては嬉しいですね。なにより話しかけ易い雰囲気がこの病院にはあるように感じました。

(標葉)

気楽さ、敷居の低さを意識した病院作りをしています。例えば散歩の途中に寄ってくれたりと、診察をしに来るのではなく友達みたいな感じで寄ってくれる、その辺が当院の個性のひとつかなと思います。若いスタッフでやっていますので、悪い言い方をすれば威厳が無いということかも知れませんが、話しかけやすさであったり、ちょっとしたことを訊きやすいようにとスタッフ全員が心がけています。


では今回のテーマ、健康診断について。まず、健康診断にはどのようなものがありますか?

(標葉)

大きく言えば一番簡単なのは身体検査です。それにプラスαで血液検査、少し進んで超音波検査やレントゲン、最近ではさらに進んでCTやMRIを予防的におこなうところまで都心では進んでいます。ただ動物の場合は麻酔が必要になるため、全身麻酔をかけて健康診断をするというのは議論の余地が残るところです。


健康診断として一般的にお勧めなのは何でしょうか?

(標葉)

一般的には血液検査ですね。ワンちゃんならフィラリアの検査のために、年一回は来られますから、5歳を超えたらお勧めしています。また健康な時の血液の基礎データを調べておくと良いですね。健康な状態でも持っている数値はみんな違いますので、病気の時に役立ちます。ただし血液検査で分かることは限られていますから、人間ドックのような意味あいを持たせるにはレントゲンや超音波検査まで必要になります。


動物が病気になってから連れて来られる方が多いと思うのですが、健康診断を受ける重要性とは?

(標葉)

動物と人間では時間軸が違います。人間の1年は動物にとって4~5年だと考えれば、いかに年1回の健康診断が重要かが分かると思います。最近では動物の寿命も延びてきていますが、やはり高齢になるほど重要な疾患は増えてきます。みなさん飼い始める時には異常がないかと連れて来られますが、それ以降は健康診断として来られる方は少ないですから、違う用件で来られた時にお勧めしているのが現状です。動物は自覚症状がない分、人間では重症化しないものでも重症化する傾向にあります。気を付けてあげたいですね。


では、飼い主が注意しなくてはいけないことはありますか?

(標葉)

都会よりも地方で良く見られる傾向ですが、交通事故が多いです。放し飼いやノーリードでの散歩により交通事故で亡くされる方が多いので、リードを付けて散歩をするように心がけていただきたいですね。あとは小さな異常を見過ごさないことです。しばらく様子をみようとか、まあ大丈夫だろうとご自分で判断されて手遅れになるケースがありますので、早めに相談に来ていただけたらと思います。


家庭で出来る健康診断はありますか?

(標葉)

とにかく動物を触ることです。しこりに関してもそうですが、触った時に嫌がらないか、毛がごわついていないか、ハゲが出来ていないかなど触ることで分かることはたくさんあります。それが家で出来る一番の健康診断ですね。また触ることがしつけにもなりますから、意識して触ってあげてください。


触ることがしつけになるんですね。

(標葉)

最近は体を触ると、怒ってしまうワンちゃんやネコちゃんが増えてきています。飼い主様が動物を可愛がるあまり、動物の方は「自分が一番偉い(!)」と勘違いして我が儘に育ってしまうんです。嫌なことがあると噛み付いたり、逃げ出して飼い主が呼んでも戻って来ない、それが交通事故にも繋がっていくのかなと思います。口や耳など色々なところを触ることがしつけにも繋がりますから、健康診断も兼ねてしっかり触ることです。


今後取り組んでいきたいこと、取り組まれていることはありますか?

(標葉)

最近、動物の介護相談を始めました。人間と動物の老々介護により飼い主様が腰を痛めたり、精神的に不安定になられたりする事例が増えています。動物病院が人と動物の関係を円滑に保つためのツールのひとつになれればと思い、介護のお手伝いをさせていただいています。


動物病院での介護相談は珍しいですね。 

(標葉)

これまで需要はあったのですが、供給が無かったんです。それに動物病院はたくさんありますから、色んな病院が違うことに取り組んでいけば患者様のニーズはもっと満たされるのかなと。困ったことがあった時、皆さん不安な精神状態で電話をして来られるんですね。「こういう状態なんですが、こんなサービスはあるんでしょうか」と。こちらから提示することで気楽に電話をしていただけるようになればと思っています。


気楽に相談出来る病院っていいですね。
標葉先生、本日はありがとうございました。


Information

若葉会動物病院

【ホームページ】  http://shinshia.net/okayama/