3世帯に1件はペットを飼っているという時代。昔は外で飼っていた犬も、最近では家の中で飼う方が増えています。
今回は、愛犬家住宅コーディネーターで、一級建築士でもあるstageY'sの竹澤さんに、愛犬家住宅についてお話を伺いました。

まずご存知ない方もいらっしゃると思いますので、愛犬家住宅コーディネーターについて教えてください。

(竹澤)

一言でいうと、犬と一緒に安全・安心・快適に暮らしていくために、犬の特性を理解し、住まいづくりの的確なアドバイスや提案を行っていく専門家です。私は一級建築士であり、愛犬家ですから家のことも分かるし、犬のことも分かる、もってこいの資格だと思っています。


住宅だけではなく、犬の特性まで理解しないといけないんですね。

(竹澤)

そうですね。犬によって特性が違うので、個体でみるようにしています。その子の性格・特性を見抜くことはとても大切なことで、おとなしい子とワンパクな子ではしつけ方も違ってくるし、小型犬と大型犬ではアドバイスも変わってきます。ですから相談を受けた時には、必ずそこのお宅に伺ってワンちゃんに会って、その場の状況を見てからお話をさせて頂くようにしています。


愛犬家住宅というのは具体的にはどのような家ですか?

(竹澤)

犬と人間が一緒に暮らすには、人にとっても犬にとっても快適でなければいけない。昔は外で番犬として飼われる方が多かったと思いますが、今は家の中で家族の一員として暮らしているワンちゃんが増えていますよね。それに伴って色々な弊害も出ています。例えば犬の臭いが気になるとか、しつけが出来ていなくて吠えるとか、噛むとか、これら人間側の言い分に対して、犬の立場からすれば、眠い時など1人になれる場所がない、床がすべって歩きにくいといったことですね。それら両方の意見を汲み取ってコーディネートしていく住宅を愛犬家住宅といいます。


なるほど。ツルツルした床が良くないというのは聞いたことがあります。

(竹澤)

最近の家はフローリングにワックスで床がツルツルすべりますよね。床がすべると胴が長くて足が短い犬種のワンちゃんは椎間板ヘルニアになりやすいんです。1度なってしまうと治りにくいので気を付けてあげないといけません。大きな犬の場合は股関節脱臼になったりしますね。そうなると治療費も必要になるし人にも犬にも負担がかかります。この床問題に対してお勧めなのがパーフェクトコートというガラスコーティング材です。ワックスだと1年に1回は塗り直さないといけませんが、これはほぼ永久的に効果が持続します。キズがつきにくく雨に濡れてもすべらないので空港などに塗られているものです。ワンちゃんだけでなく、子どもやお年寄りの居るご家庭にも安全でお勧めですよ。


キズもつきにくいというのは良いですね。
臭いについてはどのような対策がありますか?

(竹澤)

臭いは壁材で解決できるんです。どんな犬でも多少の臭いはしますし、犬自体が臭わなくても、家の中でトイレをすれば当然臭います。壁材で解決出来ると言いましたが、ビニールクロスとかではダメなんです。珪藻土といって、ありとあらゆる種類があるんですが、その中でも湿気を吸収したり臭いを吸収するものなど、どんどん良いものが出て来ているので臭いで悩んでいる方にお勧めしています。


では、さきほど犬の側から出てきた「1人になれる場所」というのは?

(竹澤)

たいてい犬の居場所がない家が多いんです。リビングなど人と一緒に過ごすスペースはあっても1人になれる場所がない。特別な設備だとかそんな大仰なものでなくて、どんなトコロでもいいんですよ。犬も1人で居たい時がありますよね。身体の調子が悪くて子ども達と遊んでいる場合ではないとか、そういう時にちょつと1人になれる場所、勝手に行って休める場所を作ってあげて欲しいと思います。小さな家でワンちゃんのためのスペースなんて特別にとることが出来なくても、そこは普通に犬小屋でも良いし、ケージでも良い。我が家はドッグベッドを置いてあります。何か調子が悪い時や寝る時には自分から入っていきますよ。


他にどのような相談が多いですか?

(竹澤)

小型犬を飼われている方が多いんですが、小さなワンちゃんっていうのは大抵は家の中で放し飼いをされています。なので飼い主さんが出掛ける時に、足元にまとわりついて一緒に出てしまうことがあるんですね。外に飛び出すと危ないし、来客があった場合にも、ちょっと入れておける場所が欲しいという方が多いです。これも結局は犬の居場所を作ってあげるということかなぁと思いますね。
新築で最初からワンちゃんが来ることが分かっている場合は、ちゃんと計画が立てられますが、やっぱり後からワンちゃんが来ることが多いので、そういった場合にはリフォームでもアイデアは幾らでも出てきますから、ワンちゃんのためにも、人間のためにも、あきらめずに相談して欲しいと思います。


最初に出て来た弊害の中に、しつけの問題も出ていましたが。

(竹澤)

吠えるとか噛み付くといった問題ですね。吠えたり悪いことをした時には犬が嫌う音を出すとか、食事を与える時には飼い始めの時からエサに手を入れて出すというようなことを繰り返すことで犬も学習します。しつけをせずに「家では飼いきれないから」と飼育放棄をすることはやめて、きちんとしつけをして最後まで飼って欲しいですね。日本では飼育放棄などで殺処分になっている犬・猫がたくさん居ます。とても悲しいことです。


人の都合で飼育放棄せずに共生するためにも、愛犬家住宅のような暮らし方に工夫をするのもひとつの方法ですね。

(竹澤)

これからは殺処分ゼロを目指して声も上げていきたいと思っています。愛犬家住宅に限らず、もっと出来ること、考えていかなければいけない問題もあると思いますから。日本でも最近は声を上げる方が少しずつ増えてきて、殺処分の数も減少傾向にありますが、まだまだこれからといったところです。ぜひ一度「犬の十戒」を読んでみてください。小さな命ですが、私たちと同じ命です。愛犬ともなれば家族の一員ですから、困ったことがあったら専門家に相談してください。きっと力ななれると思います。



人と犬が共に快適に過ごせる場所、愛犬家住宅のことが良く分かりました。
竹澤さん、本日はありがとうございました。

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stage Y's 一級建築士事務所

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